高専生が児童にスペースバルーン解説 子どもら興味津々

スペースバルーンで使った機体を団員に説明する福井高専生。背後のモニターで、撮影した映像を放映した=福井県坂井市の県児童科学館

野外体験や科学実験を通して宇宙への興味を育む福井新聞社の「スペースキッズ」(福井信用金庫特別協賛)の冬イベントが16日、福井県坂井市の県児童科学館で開かれた。気象観測用の風船を使って宇宙や地球を撮影する「スペースバルーン」の報告では、福井高専生が活動の軌跡を小学5、6年生の団員約60人に説明した。撮影に成功した宇宙の映像も放映され、団員は「とってもきれい」と大興奮。「自分も撮影してみたい」と宇宙への思いを広げていた。

スペースバルーンは、カメラなどを搭載した発泡スチロール製の箱形の機体を風船につり下げて、高度約3万メートルの成層圏から宇宙や地球を撮影する。同高専生と福井新聞社の記者が今年3月に活動を開始し、10月に沖縄県宮古島市で撮影に成功した。

同高専生は、低温になる上空の環境を考慮してカメラなどに対策を施したことや、打ち上げ当日の工程を説明した。機械工学科4年の渡辺虎生太さんは「最初は全く知識がない状態だったけど、いろいろなことを勉強して成功することができた。みんなも興味のあることにどんどん挑戦してほしい」と呼び掛けた。

団員は「機体の中はどうなっているの」などと興味深そうに質問。野田隼君(福井市)は「7カ月でこれだけのことができるなんてすごい。僕も作ってみたい」と興奮した様子だった。

真空実験の体験もあった。特殊なポンプで容器内の気圧を下げて真空に近づけると、中にあるマシュマロや菓子袋が膨張していき、団員は「こんなに膨らむんだ」と驚きの声を上げた。同館職員は、地球上は1気圧で宇宙は気圧がゼロと説明。17日に国際宇宙ステーションに向かう宇宙飛行士の金井宣茂さんがブログで「パンパンに膨らまないよう宇宙服の中は1気圧よりも低い圧力に保たれている」と記していることを紹介した。

野尻峻佑君(同市)は「マシュマロはへこむと思っていたので、真空の原理が学べた。実験を思い出しながら、金井さんの打ち上げを見て応援したい」と声を弾ませていた。