スペースキッズ結団式 サイエンスショーに100人夢中

サイエンスショーで科学の魅力を体感するスペースキッズの団員=2018年5月13日、福井新聞社

 宇宙の不思議、たくさん学ぶぞ―。天体観測や施設見学を通じて宇宙や科学への興味を育む「スペースキッズ」(福井信用金庫特別協賛)の結団式が13日、福井新聞社・風の森ホールで開かれた。本社プロジェクト「ゆめ つくる ふくい」の一環で、メンバーは宇宙好きの県内小学5、6年生100人。この日行われたサイエンスショーでは興味津々な様子で実験に見入り、これから体験するさまざまな活動への思いを膨らませた。

結団式には保護者らを含め約200人が出席した。福井新聞社の吉田真士社長、西川一誠知事、応援団長を務める高橋俊郎・福井信金理事長が「科学や宇宙に興味を持ってもらいたい」「将来は世界や宇宙で活躍する人材になってほしい」などと団員を激励した。スペースキッズのサポーターを務める宇宙飛行士の山崎直子さんもメッセージを寄せた。

 団員を代表して決意表明したのは、昨年に引き続いて参加した山内諒人君(福井市)。今年2月、坂井市の県児童科学館と国際宇宙ステーション(ISS)を結んで金井宣茂宇宙飛行士と交信したイベントについて「あの感動が今でも心に残っている。今回も仲間たちと宇宙や科学について知識を深めたい」と力強く宣誓した。

 「ゆめ つくる ふくい」の一環で、県内高校生や大学生、福井新聞記者が共同で取り組んでいるプラネタリウムドーム作りの説明もあった。福井大3年の翠(みす)勇弥さんと中川弥(わたる)さん、仁愛大2年の片岡莉奈さんが「自分たちならではのプラネタリウムを作りたい。完成したら、みんなにきれいな星空を見てもらいたい」と話した。

 スペースキッズは今回で2期目。団員は、天体観測やペットボトルロケット作り、施設見学などの活動を通し、1年間にわたって宇宙や科学の魅力に触れる。

サイエンスショーでは、県児童科学館のスタッフが軽妙なトークとともに宇宙に関するさまざまな実験を披露し、会場を盛り上げた。団員たちは「宇宙や衛星を身近に感じた」「科学がもっと好きになった」と笑顔だった。

 同館の中川眞さん(67)と青山悠奈さん(31)が“先生と助手”役で登場した。中川さんは飛行機の模型を手に「飛行機って軽いって知ってる?」と質問。全長80メートルのジャンボジェット機は重さ200トンだが、全長40センチに縮小すると重さはたった25グラムになると説明した。一方で、ロケットを同様に縮小すると重さは400グラムになると話し、「飛行機は翼の揚力で浮きながら飛ぶが、ロケットはエンジンの燃料を燃やし続けて飛ぶ」と違いを解説した。

 水素やアルコールなどを燃料にしたペットボトルロケットの発射も実演。「プシュー」と高音を残して一瞬のうちに進むロケットに、団員から大きな拍手がわき起こった。

 中川さんは、人工衛星に見立てた風船を使い、衛星利用測位システム(GPS)の仕組みも紹介した。日本版GPSをつくるために2017年秋に4号機が打ち上げられた準天頂衛星「みちびき」を例に挙げ、「衛星は高度約3万6千キロの軌道から電波を出しており、3基以上の衛星を利用することで地図上のどこにいるかが分かる」と説明した。

 このほか、宇宙空間で方角を示すこまの一種「ジャイロスコープ」の仕組みについては、団員たちが大型こまを手に持って体感する実験などもあった。

 浦木嶺歩(ねお)君(敦賀市)は「宇宙や衛星って別次元で遠い存在だったけれど、すごく身近で面白いものだと感じた」と笑顔で話していた。徳田優來(ゆら)さん、小山青奈(せな)さん(坂井市)は「いろんな実験があり、びっくりの連続だった。小学生最後の思い出になる1年になれば」と話していた。

宇宙飛行士・山崎直子さんに質問 福井新聞スペースキッズ企画

天体観測や施設見学を通じて宇宙や科学への興味を育む「スペースキッズ」(福井信用金庫特別協賛)の子供たちの質問にスペースキッズのサポーターを務める宇宙飛行士の山崎直子さんが答えてくれた。

Q 宇宙飛行士の試験でつらかったことはありますか?

 閉鎖空間で1週間、缶詰めになりながら過ごしたり、一つ一つが何をテストしているのか、よく分からずに作業したりしていたので、緊張感はありました。でも、こんなこともやるんだとか、いろいろな人と出会うなど、楽しいことの方が多かったですよ。

Q 宇宙でタマネギは栽培できますか?

 現在、宇宙船の中で自給自足できるようにするために「宇宙農業」の実験が進められています。タマネギの栽培はできていませんが、ロメインレタスは育てられました。油井亀美也宇宙飛行士が宇宙で収穫して試食したことも話題になりましたよ。

Q 宇宙で暮らしていて体に何か変化はありましたか?

 無重力で歩く必要がないため、足腰の筋肉や骨が弱くなりがちなので、それを防ぐために宇宙船の中でも運動をしています。そのため、今は筋肉や骨は衰えずにすんでいます。また、骨と骨の隙間が圧迫されず、身長が2~5センチ程度伸びますが、地球に戻ればすぐ重力に押されて元の身長に戻ってしまいます。

Q 宇宙滞在中にけがをしたらどうするんですか?

 事前に応急処置の訓練は受けていて(虫歯の際の抜歯なども)、仲間同士でできるだけ処置をします。ただ、緊急の場合は、緊急ボートを使って24時間以内に地球に帰還できるようになっています。今後、月や火星に滞在するようになると、すぐには地球に戻れないので、もっと研究が必要になります。

Q UFO(未確認飛行物体)を見たことはありますか。

 私は残念ながら見られなかったのですが、宇宙は広いので、どこかにほかの生命がいてほしいなと思っています。

スペースキッズサポーター山崎直子さんメッセージ

山崎直子さんからのメッセージ

 スペースキッズの皆さん、結団おめでとうございます。

 これから、どんな活動があるのかワクワクされているのではないでしょうか。私の好きな言葉に「ワンダフル」という言葉があります。ワンダー(未知なこと)がフル(たくさん)であることが、素晴らしいという意味になっています。

 このスペースキッズの活動を通じて、きっといろいろな出会いや発見があるでしょう。私自身も子どもの頃に星空を観測したことが、宇宙へ興味を抱くきっかけになりました。実り多い1年間となることを応援しています。

スペースキッズ、宇宙科学の夢へ発進 福井新聞社で2期目結団式

スペースキッズ結団式で、これからの活動に向け気合を入れる団員たち=2018年5月13日、福井県福井市の福井新聞社

宇宙分野や科学技術に携わる人材育成を目指す「ゆめ つくる ふくい」プロジェクトを展開する福井新聞社は5月13日、子ども組織「スペースキッズ」(福井信用金庫特別協賛)の結団式を本社・風の森ホール(福井県福井市)で行った。宇宙や科学の不思議をもっと知りたい―。団員たちは、さまざまな体験を通じて宇宙にまつわる知識や夢を広げていくことを誓い合った。

2期生となるスペースキッズには県内の小学5、6年生100人が参加。式には保護者らを含め約200人が出席した。福井新聞社の吉田真士社長はあいさつで、県内企業などが2020年度に人工衛星の打ち上げを目指していることを紹介し「皆さんにはその応援団として活動してもらい、科学や宇宙に興味を持ってもらうことを期待しています」と話した。

西川一誠知事は「世界や宇宙を目指す人材になってもらいたい」、応援団長を務める高橋俊郎・福井信金理事長は「体験を通じて宇宙への夢を探ってほしい」とそれぞれエールを送った。スペースキッズのサポーターを務める宇宙飛行士の山崎直子さんも激励メッセージを寄せた。

団員を代表し、昨年度に引き続いて参加した山内諒人君(福井市)が「(2月に坂井市の県児童科学館で)金井宣茂宇宙飛行士と交信できた感動が今でも心に残っている。今回も宇宙や科学について知識を深めたい」と力強く抱負を述べた。

サイエンスショーもあり、県児童科学館のスタッフが人工衛星に見立てた風船を使い、衛星利用測位システム(GPS)の仕組みを紹介した。ペットボトルロケットの発射も実演した。県内高校生や大学生、福井新聞記者が共同で取り組んでいるプラネタリウムドーム製作プロジェクトの説明もあった。

団員は、天体観測、ペットボトルロケット作り、施設見学など1年間の活動を通じて宇宙や科学の魅力に触れる。結団式の詳しい内容は、26日付の特集面で紹介する予定。