高度3万メートルの宇宙撮影挑む

スペースバルーンの仕組み飛行実験の目的は(1)スペースバルーンの本体(発泡スチロール製の小型の箱)に内蔵したデジタルカメラで、上空からぶれずに動画撮影できるか(2)パラシュートがしっかり開くか―を確認すること。本番では直径3メートルほどの気象観測用の風船が上昇するにつれて膨張し、高度3万メートル付近で耐えきれずに破裂する。安全性を考慮し、本体は海上に落下させる。上空で撮影した映像を見るにはカメラを回収する必要があり、パラシュートが機能するかが重要だ。

約1カ月間の準備期間を経て、迎えた実験当日。快晴の三里浜。でも風が強いのが気がかり。「ちゃんと飛んでくれよ」。メンバーの思いをのせて手を離れた風船は、強い浜風の影響で上がらない。「やっぱりだめか…」。諦めかけたそのとき、風船がふわりと浮いた。

「風に乗った!!」「やった!!」。次々と歓声が上がる。ただ、風にあおられて20メートルほどしか上がらず、飛行も安定しなかったためパラシュートを使った落下実験は持ち越しになった。

収穫もあった。空撮映像を確認したところ、静止画としては使える水準だった。というわけで、今回の実験は“半分成功”ということにしておこう。福井高専のリーダー渡辺虎生太さん(18)は「浮力が足りず、気象条件も悪かった。課題が分かったことは成果」と前を向き、次の実験へ意欲をみなぎらせた。