高度3万メートルの宇宙撮影挑む

4月1日正午。福井新聞の記者ら3人と福井高専の学生5人が、緊張した表情で福井市両橋屋町の三里浜海岸に集まっていた。カメラを取り付けた風船を打ち上げ、高度3万メートル付近から宇宙や地球を撮影する「スペースバルーン」の初めての飛行実験に臨むためだ。実験では風船に丈夫なひもを付けて係留しながら約50メートルの高さまで飛ばし、うまく空撮できるか確かめる。風船にヘリウムガスを入れ、さあ準備OK。3、2、1、ゴー。一斉に手を放す。すると風船は―。

スペースバルーンに挑戦しよう」。昨年12月、福井新聞本社の会議室。社内プロジェクト「ゆめ つくる ふくい」を翌年4月にスタートさせるのを前に、今後の活動内容を話し合う会議でメンバーの一人から提案があった。「面白そうだね」。賛同の声が相次ぎ、プロジェクトの一つとして取り組むことになった。

「ゆめ つくる ふくい」は、県や県内企業が2019年度に打ち上げを目指す「県民衛星」の機運を盛り上げ、県民の宇宙への関心を広げようと始めたプロジェクト。スペースバルーンに取り組むのは、経済部と社会部の中堅記者、インターネットに詳しいデジタルラボの若手社員の計3人だ。

福井高専の4年生5人も活動に興味を持ち、メンバーに加わってくれた。成功させるには専門家の助言も必要だろう。スペースバルーンの国内第一人者、岩谷圭介さん(31)=福島県郡山市=が計画に理解を示し協力してくれることになった。岩谷さんに進め方を相談し、本番は今年11月、沖縄県の宮古島で打ち上げを目指すことに決めた。