真空対策、防水もOK 撮影機体実験着々と

7月上旬、鯖江市の福井高専に集合したプロジェクトメンバーは、真空実験に挑んだ。直径約30センチの透明の容器に発泡スチロールの箱を入れ、特殊なポンプで容器内の気圧を下げ、真空に近づけていく。発泡スチロールが空気を遮断するなら、気圧が低くなったときに箱が壊れるはずだ。

左は1気圧(1013ヘクトパスカル)の状態、右は20ヘクトパスカルまで気圧を下げた状態。水温約20度の水は沸騰し、マシュマロは大きく膨らんでいる

ポンプを動かすと気圧はみるみるうちに低くなり、数分後には高度3万メートルの気圧と同じ約10ヘクトパスカルに達した。箱が破損や変形した様子はなく、空気を完全に遮断していないことが分かった。

微妙に空気を通すとなれば、海に落下したとき水が染み込んではこないか―。防水の実験も試みた。水を張った大きなバケツに1分間、箱を沈めてみたが、気泡は全く出なかった。

「よし、成功だ」。メンバーは顔を見合わせほっと一安心。自分たちで考えた方法で立ちはだかる問題を解決できたとき、何とも言えない喜びを感じる。活動開始から4カ月、着実に前進しており、この調子なら成功できる。乗り越える課題はあと少し―。