岩谷圭介さん、試作機の出来に太鼓判

専門家の岩谷圭介さん(右)から機体の改善点を学ぶ福井高専4年の渡辺さん=8月、福井県鯖江市の同校

岩谷さんからは活動を開始した3月から、電話やメールで助言をもらっていた。その際、岩谷さんが強調していたのは「まずは自分たちで考えてほしい」ということだ。特に学生に対しては、自力で壁を乗り越えてもらいたいとの思いが込められていた。岩谷さんの言葉を胸に刻み、メンバーは議論や実験を重ね、試行錯誤を繰り返してきた。

岩谷さんを招いたこの日、用意した機体には、これまでの実験で判明した課題の解決策を注ぎ込んだ。発泡スチロール製の箱(機体)の中に、動画撮影用のカメラやモバイルバッテリーを収納し、低温、防水対策も施した。箱の外側には県の恐竜ブランド「ジュラチック」キャラクターのラプトを取り付け、“成層圏旅行”をしてもらう計画だ。

スペースバルーンの機体(左)に取り付けられたラプトのマスコット。〝宇宙旅行〟するする予定だ

岩谷さんによると、機体の評価は「想像以上」。製作を主導してきた渡辺虎生太(こおた)さん(19)=福井高専4年=は「着実に前進していると分かり、自信になった」と声を弾ませた。

ただ、改善すべき点も見つかった。一つは防水対策。機体に使用した発泡スチロールでは、「浸水を完全に防ぐのは困難」(岩谷さん)という。海上への落下時、浸水することを前提にした対策を考えることにした。もう一つは着水時の姿勢制御。機体を無事に回収するには、着水後に転覆しないことが重要。起き上がりこぼしのような仕組みを検討することに決めた。

活動スタートから半年が経過した。思った通りの実験結果が得られないことも多いが、岩谷さんは「失敗も良い経験。試行錯誤を繰り返すことに意味がある。引き続き頑張って」と激励してくれた。気を引き締めたメンバーは、早速作業に取り掛かった。本番は徐々に迫っている。