機体完成、宇宙撮影いざ!! 工夫随所に

完成したスペースバルーンの機体。海で発見しやすいようピンクの蛍光色で塗り、旗を立てた。側面に小型カメラを搭載している=福井高専

福井高専生5人と福井新聞の記者3人が取り組むスペースバルーンプロジェクト「ふーせん宇宙船」(鯖江精機、ナカテック特別協力)で、沖縄県宮古島市で打ち上げる機体が完成した。高度約3万メートルから、機体に搭載したカメラで宇宙や地球を撮影する計画だ。プロジェクト始動から7カ月。メンバーは上空の低温環境下でもカメラを作動させ続けたり、海上への落下時に転覆したりしないよう工夫を重ねてきた。打ち上げ本番は14日。ミッション成功に向け最終調整を進めている。

宇宙分野や科学技術に携わる人材育成を目指そうと、福井新聞社が展開している「ゆめ つくる ふくいプロジェクト」の一環。3月から製作に取り掛かった。

箱形の機体は、縦26センチ、横35センチ、高さ42センチ。重さは約1600グラムで全て手作り。同じ構造の機体を時間差で2機打ち上げる。カメラなどを収める箱は発泡スチロール製。心もとなく思えるかもしれないが、意外に丈夫だ。機体が海上に着水した際の転覆を防ぐため、箱の上部には高さ約30センチの発泡スチロールの部材を取り付けて重心を低くした。

1機当たり4台のカメラを搭載する。通常の小型カメラ2台と、約180度撮影可能なカメラが2台。映像を組み合わせることで360度の“視界”を楽しめる動画を作る計画だ。マイナス70度以下になる上空の低温環境下でもカメラを作動させ続けられるよう、シート状のヒーターで保温する仕組みを備えた。

温湿度や位置情報を記録するマイクロコンピューター(マイコン)も搭載し、箱の側面には県の恐竜ブランド「ジュラチック」キャラクターのラプトを取り付けた。

風船を浮かべてひもで係留し、空撮実験に取り組むメンバー=9月、福井市の三里浜

学生のリーダーを務める渡辺虎生太(こおた)さん(19)=福井高専4年=は「考えられるだけの対策を施した」と語り、本番が待ちきれない様子。廣野晴夏さん(19)=同=は「不安もあるけど、みんなの力で絶対成功させたい」と意気込んでいる。

今回のスペースバルーンは航空法上、「気球」に該当する。旅客機などの飛行に影響を及ぼす可能性があるため、打ち上げる日時や飛行経路を事前に関係機関に申請し、11日までに許可を得た。