移動式プラネタリウム、試行錯誤の1年 ドームの素材選びから投映機の設計まで

プラネタリウムドームの前で記念撮影するスペースキッズと「どこプラ」メンバー=2月23日、福井新聞社・風の森ホール
プラネタリウムドームの前で記念撮影するスペースキッズと「どこプラ」メンバー=2月23日、福井新聞社・風の森ホール

「どこでもプラネタリウム(どこプラ)プロジェクト」がスタートして1年。福井県内の大学生や福井高専生、高校生のメンバーはドームの素材選びから縫製作業、投映機の設計・組み立てなど、試行錯誤を繰り返しながら何とかお披露目までこぎ着けた。ドーム内の満天の星空に歓声を上げる児童たちを見て「手作りは大変だったけれど、最後までやってよかった」「半端ない達成感です」と感慨ひとしおの様子だった。

「ここに映っている空は、皆さんが今いる風の森ホールから見える空です」。星空の解説をしたのは高志高1年の生徒2人。「人間と同じように星にも寿命があります。爆発は今夜かもしれませんよ」などと臨場感たっぷりに解説し、児童たちを喜ばせた。

投映機のソフトは、天文関連ソフトウエア開発のアストロアーツ(東京)から提供を受けた。特に流星群や月面着陸を再現する場面ではひときわ大きな歓声が上がった。解説を担当した生徒は「じっくり鑑賞してもらえるよう間を十分にとった。子どもたちの『きれい』というリアクションが最高だった」と手応えを感じていた。

直径5メートルのドームは、福井市セーレンプラネットで企画・交流サブマネジャーを務める亀谷光さんが考案した設計図を参考に製作した。遮光性の高いポリエステル製で暗室効果は抜群。映し出された星々は一つ一つがくっきりと見える。布を縫い合わせる作業は根気と精密さが必要だったが、福井文化服装学院(福井市)の協力で3カ月で仕上げた。縫製に携わった高志高の生徒は「A4用紙で小さな模型を作るところから始まったが、いろんな人のおかげで素晴らしいプラネタリウムができた」と笑顔を見せていた。

「福井の子どもたちに気軽に満天の星空を届けたい」。メンバーのそんな思いからスタートしたプロジェクトの活動は、今回のお披露目で一区切りとなる。学生のリーダーを務めた浅見祥宏さん(福井大3年)は「プラネタリウムについては素人の自分たちだったが、意見を出し合いながら満足いくものができた」と感慨深げ。「もっと多くの子どもたちに見てもらい、宇宙や星空への興味を持ってもらいたい」と話していた。