県民衛星の名称「すいせん」に決定 福井県など打ち上げ目指す超小型人工衛星

県民衛星の名称が「すいせん」に決まり、衛星の模型を囲む名称考案者の5人と杉本知事(右)、進藤理事長(左)=2019年11月10日、坂井市の福井県児童科学館
県民衛星の名称が「すいせん」に決まり、衛星の模型を囲む名称考案者の5人と杉本知事(右)、進藤理事長(左)=2019年11月10日、坂井市の福井県児童科学館

福井県や県内企業が2020年度上半期の打ち上げを目指す超小型人工衛星「県民衛星」の名称発表イベントが2019年11月10日、坂井市の福井県児童科学館で開かれ、名称は公募で最も応募数が多かった「すいせん」に決まった。県の花である水仙は風雪に耐え抜いて咲くことから、宇宙の過酷な環境で運用される人工衛星の名称にふさわしいとして選ばれた。

「県民衛星プロジェクトDAY」と銘打った発表イベントで、杉本達治知事と、衛星の開発を進めている県民衛星技術研究組合の進藤哲次理事長が「すいせん」と書かれたフラッグ(旗)をお披露目した。進藤理事長は「水仙は花の形が星のよう。福井県の衛星にぴったりの名前」と講評した。

県によると、応募があった1344点のうち、62点が「すいせん」だった。この中から抽選で優秀賞5人を選び、発表会で再度抽選した結果、敦賀市の辰巳里香さん(49)が最優秀賞に決まった。辰巳さんは「県民衛星の事業が大きく花開くよう願って、すいせんにしました」と話していた。

■福井の夢、宇宙で花咲け

「みんなのゆめをのせて とびたて」「宇宙空間に美しい“すいせん”の花を咲かせよう!」―。県民衛星の名称が「すいせん」に決定した。10日に県児童科学館で開かれた発表会では「すいせん」の名が書かれたフラッグ(旗)に、訪れた子どもたちが熱い期待と応援のメッセージを書き込んだ。宇宙にまつわる体験イベントもあり、来年の打ち上げに向けた機運を盛り上げた。

名称募集で「すいせん」は最多の62件が寄せられた。発案者の一人で、優秀賞となった奈良日葵さん(鯖江市)は「水仙には『私の元へ帰ってきて』という花言葉がある。みんなの思いを乗せて飛んで行き、また福井に戻ってきてほしい」と話した。同じく優秀賞の川﨑信幸さん(66)=あわら市=は「防災などにはもちろん、米作りをしているので、衛星のデータが農業に生かせればいいな」と期待を込めた。

フラッグに「宇宙大好き」と書いた杉川颯太朗君(福井市)は「ロケットに乗って広い宇宙にどんなものがあるか見てみたい」とにっこり。「名前いいね!」「ファイト」などと書いたのは、佐藤絢香さん(同)と岡田侑子さん(同)。佐藤さんは「家の近くに水仙を育てている人もいるし、水仙の花が好きだから気に入った」と満足そう。岡田さんは「絶対に打ち上げを成功させてほしい。私も宇宙へ行って、ダンスを踊りたいな」と目を輝かせた。

県では、この日作った応援フラッグを「すいせん」の機体公開時などに展示。カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にも持ち込み、打ち上げを見守る予定だ。

県民衛星技術研究組合の進藤哲次理事長は、応援フラッグに「宇宙ビジネス完遂!」と書き込んだ。「ついに名前が決まった。衛星からのデータ活用に向け、ソフトウエア開発に全力を挙げている。何が何でもやり遂げる」と決意を新たにしていた。

会場では、紙コップなどを使い光のスペクトル(虹)を見る分光器作りや、フラスコを真空状態にする実験など体験イベントが開かれ、人気を呼んでいた。福井新聞社の「ゆめ つくる ふくいプロジェクト」で製作した移動式の「どこでもプラネタリウム」の上映会も開かれ、親子連れらでにぎわった。