「どこでもプラネタリウム」計画始動

 真っ暗な部屋の天井に、輝く点がいくつも浮かび上がる。その点と点が結びつくと、さまざまな星座になった。見渡すと、いつの間にか壮大な星空が広がっていた―。幼いころにプラネタリウムを見に行ったとき、映し出された星が人工的なものとは思えなかった。自然と宇宙への想像がかき立てられた。

 「子どもたちに星空を楽しんでもらうため、プラネタリウムの装置を一緒に作ってみませんか」。県内の大学生や高校生に協力を呼び掛けたところ、何人もの学生が「面白そう。やってみたい」と賛同してくれた。

 プロジェクト名は「どこでもプラネタリウム」(清川メッキ工業、鯖江精機、ナカテック特別協力)。略して「どこプラ」。メンバーは福井大3年の6人、仁愛大2年の1人、高志高1年の2人、福井新聞記者4人の計13人。

 力を合わせて作るのは、20~30人が入れるプラネタリウムドーム。ドームの中に投映機などを設置し、満天の星空を映し出す予定だ。「どこでも」の名の通り、ドームは持ち運べるようにする。さまざまな場所に出張上映して、多くの人に親しんでもらう。

 4月1日、福井市の福井大文京キャンパスにメンバーが集まり、計画がスタートした。「せっかく作るのなら、世界に一つだけのプラネタリウムにしたいね」。メンバーで意見を出し合い▽福井の特徴を映し出す(恐竜、眼鏡など)▽地球以外から見た星▽その日の夜に見える星空―などの案が挙がった。

 ただ、全員が初心者。ドームの素材や投影機の性能はどうするのかなど、知識も技術も不足している。まずは比較的手軽に製作できる「ピンホール式」の装置を作ることに決めた。レンズを使わない簡単な仕組みのため、さまざまな製作例があり我々でも作れそうだ。

 学生のリーダーを務める福井大工学部応用物理学科3年の浅見(あさうみ)祥宏さんは「分かりやすく星について説明できる装置にしたい。少しずつ前に進み、みんなでやり遂げたい」と意欲を見せている。